◆都心に聳える樹齢670年の神樹

 大阪都心の八軒家浜から熊野古道を南へ10分ばかり歩くと長堀通りにぶつかりますが、その交わった地点の手前高台に、なんと樹齢670年の榎木の大木があります。
 この榎木、熊野詣での人々にとっては旅の目印となったそうです。楠木正成が植樹したとの伝聞もあり、「榎木大明神」の御神樹として崇められています。
 大阪大空襲の時あたり一帯は焼け野原となりましたが、この榎木から東は類焼を免れて、すっくと立っていたそうです。また、この榎木を切る道路計画を大阪市が何度か立てましたが、その度に事件が発生し伐採は断念されたとのことです。20年前に枯れそうになりましたが、山野忠彦樹医(故)に延命施術をしていただき元気を回復しました。実はこの時、この大木は榎木ではなく「槐(エンジュ)」だとわかったそうですが、昔からの馴染みで今でも「エノキさん」と呼ばれています。
 なお直木賞で有名な「直木三十五」はこの近くで生誕し、彼の文学碑がこの榎木(槐)の近くに建立されています。(2012年11月)

御神樹は樹齢670年!                          (写真撮影:室井明)
御神樹は樹齢670年!                          (写真撮影:室井明)