◆「大阪万博と水都大阪」(私的提言)

令和元年1019日に八軒家浜で開催された「水都大阪アニバーサリーナイト」での発言をもとに編集したものです。―室井明(NPO大阪再生プラットフォーム理事、元水都大阪2009事務局長)            

「水都大阪」は2009から始まった!

●水都大阪アニバーサリーナイトに多くの方にお集まりいただきありがとうございます。2009年に「水都大阪2009」が開催されてから、今年で丁度10年になりますが、本日のこの集まりの発起人のひとりとして一言挨拶させていただきます。

●「水都大阪2009」の基本コンセプトは三つありました。一つは、水都大阪の魅力創出と世界への発信。二つ目と三つ目は、「継承継続」と「市民参加」です。このようなイベントの上位概念に継続とか市民参加を掲げているイベントは、なかなか珍しいのではないかと思います。

●「水都大阪2009」は、2009年の822日から1012日の52日間、中之島、水の回廊を中心に広げられました。アートプログラム、光のプログラム、クルーズプログラム、船着き場プログラム、水辺の社会実験など多くの「市民参加型プログラム」を含む1000近いプログラムが実施され、市民参加8万人、来場者190万人と、大阪の魅力を発信でき、水都大阪のイメージを確立できたのではないかと思います。

 継続された水都大阪の活動!

●「水都大阪2009事務局」が解散したあと、2009年以降も、組織としては「水都大阪パートナーズ」、「水都大阪コンソーシアム」という形で継続されました。また、活動も、北浜テラスや船着き場の整備拡充、八百八橋といわれた橋のライトアップなど大きく進展しました。舟運も大幅な増加を見せ、道頓堀で多くの人が満員の船に手を振るというように10年前とは水辺の風景も一変しました。また、アートでは「大阪カンヴァス推進事業」が全国知事会政策コンテスト大賞という栄光も獲得しました。このように水都大阪の魅力発信力は格段に向上し、大阪再生に大いに貢献した10年だったのではないでしょうか。これも、皆様の熱意、努力の賜物と大変うれしく思います。

 バランシングのある市民参加の仕組みが必要!

●市民参加に関しては、多くの市民参加型のプログラムが継続され、水都大阪のさらなる魅力発信に繋がっていると思います。ただ、市民参加に関し、私の意見を述べさせていただくと、「市民が提案するまちづくり」について大阪全体をまとめる仕組みが、ウイークだと思います。行政と対等に対峙できる組織が必要です。

 行政から言えば市民力のパワーを活用する仕組み。市民から言えば、ノウハウや熱意を持った市民が主体的に推進するまちづくりの仕組みです。1:1のバランシングのある仕組みが必要ではないかと思います。

水都大阪のNEXT10年はどう進めるか?

●本日のテーマはフライヤーにも書いてあるとおり、「水都大阪を紡いだ10年の軌跡、そして未来へ」です。さて、NEXT10年の話をします。

ここからは、発起人としてではなく、個人としての意見という前提でお聞きください。

大阪万博と水都大阪の連携は歴史の必然!

●2025年に大阪万博が開催されますが、「大阪万博と水都大阪との連携」についてもっと考えてみるべきだと思います。大阪万博と水都大阪が連携すべき根拠を申し上げます。

●大阪万博は、膨大な費用がかかりますが、一時の宴にしてはいけない。水都大阪も大阪万博も一過性のイベントではなく、目的は大阪の再生だという点では一致しています。また、大阪府、大阪市、経済界が連携して支援するという構図も似ています。

●夢洲は大阪市の中心部を流れる河川が大阪湾に流れ出る所です。いわば、夢洲も水都大阪のまさに現場と言えます。大阪は、「水の都」として発展してきた歴史があります。大阪万博と水都大阪が連携するのは、歴史的にも必然性があると言えます。

中之島・御堂筋を「市民参加とまちづくり」の実験場に!

●万博の歴史から見てみたいと思います。これが結構重要な視点です。2005年の愛知万博では、市民参加という命題が提起されましたが、課題としては積み残されています。今度、大阪で開催される万博では、「万博と市民参加」という課題に大阪として答えを出す責務があると私は考えています。

●そのためには、大阪万博のサテライトを中之島、御堂筋につくり(北ヤード、天芝も含めてもいいかと思います)、その都市空間を「市民参加とまちづくり」をテーマとする実験場にしてはどうでしょうか。大阪万博の開催目的にSDGs(持続可能な開発目標)があります。SDGsの17の目標のひとつの「住み続けられるまちづくり」がありますが、その具体的展開として水都大阪を取り上げることもヒントになるのではないでしょうか。『NEXT10年は、「大阪万博と水都大阪の連携」をキーに考えよう』というのが私の提案です。時間がきましたのでこれで終わらせていただきます。